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つぎに乗客流シュミレータの開発とシミュレーション実験より、以下のことを検証した。

 

(3) 降車所要時間は混雑度とともに、降車客の人数と車両内での位置に依存する。これを表現するためにメッシュモデルを提案し、シミュレーション実験により降車人数と降車所要時間の近似モデルを導出した。この近似モデルを用いて実測データから降車所要時間算出式を導きだし、降車人数と初期混雑度から、実測値との差分は平均2.1秒程度の精度で降車所要時間が推定できることを明らかにした。なお、この推定値は平均降車所要時間であり、初期混雑度が高く降車人数が少ないほど平均からの偏差は大きくなる。

 

(4) 乗車所要時間も同様にメッシュモデルを用いたシミュレーション実験により乗車人数と乗車所要時間の近似モデルを導出した。この近似モデルを用いて実測データから乗車所要時間算出式を導きだし、乗車人数と初期混雑度から、実測値との差分は平均6.6秒程度の精度で乗車所要時間が推定できることを明らかにした。なお、この推定値は最小乗車所要時間であり、乗客発生間隔に応じて乗車所要時間は長くなる。

 

(5) 乗車・降車の所要時間算出式を用いた乗客流シュミレータを用いて、車両間の混雑度平滑化により、乗車客集中駅に停車する35本中の4本の列車の乗降時間が1〜7秒(平均3.5秒)短縮されることが確認できた。これにより、停車時分は乗客移動前の平均32秒(33,37秒,31秒,27秒)から乗客移動後の平均28.5秒(26秒,27秒,30秒,30秒)に3.5秒減少することになる。また実績値の平均39.5秒(33,35秒,42秒,48秒)に対しては乗客移動後の平均値は11秒減少することになる。

 

 

 

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